著者
エリック・マディーンについて
エリック・マディーンは、国境を越えて生きてきた人生から小説とエッセイを紡ぐ作家である。受賞歴のある小説家として6冊の著書を持ち、うち4冊はAmazonベストセラー。その作品世界は赤道アフリカの熱帯雨林から東京のネオンの回廊までを行き来し、異なる文化が交わり、結ばれ、意味を生むときに立ちのぼる摩擦と優しさを描き出す。
彼が書くことへ向かった道は、まっすぐ心臓を貫いていた。アリゾナ大学で学士号を得たのち、平和部隊に加わってフランス語圏ガボンへ渡り、辺境の赤道の村で小学校の校舎群を建てた。かつて「ゴーイング・ネイティヴ」と呼ばれた中部アフリカでのその深い没入は、デビュー作『Tanga』の素材となった。同作は米国議会図書館の平和部隊作家常設コレクションに収められ、幾度もの改稿を経て、いまは『Water Drumming in the Soul』として知られている。『Fore!』のすぐ手前、サンディエゴ州立大学で創作と文学のMFAを3.9のGPAで修了。名だたる教授陣の魔術のもとで、その知は大きく花ひらいた。
マディーンはキャリアの多くを日本で築いた。当時世界最大の広告代理店であった電通でコピーを書き、全日空の機内誌のために意欲的に旅をして、毎月数十万人の読者に届けた。エッセイと記事は『Time』誌、『Asia Week』、『Daily Yomiuri』、『Kyoto Journal』、『Metropolis』、『Blip Magazine』(『New World Writing Quarterly』)、そして『Mississippi Review』など、驚くほど多彩な媒体に掲載されてきた。
執筆のかたわら、マディーンは抑圧的な、あるいは眠気の漂う教室に大きなエネルギーを解き放ってきた。その情景を、かの偉大なジョージ・オーウェルは予言のようにこう言い当てている。「そして彼らはみな、画面を見下ろしていた」。数十年あまりにわたり、東京都市大学で文学の准教授、慶應義塾大学で非常勤講師を務め、手品の袋から「何か新しいことをやってみよう!」と取り出しては学生を惹きつけた。最良の授業は決まって脱線の最中に生まれ、彼は横へ、そして文学的に動いた。くしゃくしゃの古い講義ノートなど、とうの昔に捨て去っていた。澄んだアフリカの空の下の恋を書くときも、ポストモダンの巨大都市・東京を舞台に過重労働と野心の中編を書くときも、ボルネオから日本までの旅の物語を書くときも、彼は記者の目と小説家の耳を声にもたらす。作家の声とは、その人の経験と表現手段のすべての総和だ。マディーンの声につないでみてほしい。その衝撃を感じてほしい。野生児から教授へ、彼の教室は世界中に広がり、風にめくれる本のページのようだ。
経歴のハイライト
- 受賞歴のある小説 著書6冊。うち4冊が文学・紀行部門でAmazonベストセラーに。
- MFA(サンディエゴ州立大学) 創作および文学の修士号を取得。学士号はアリゾナ大学。
- 平和部隊(ガボン) フランス語圏の中部アフリカで活動し、村の小学校の建設に携わる。
- 東京での大学教員 東京都市大学で文学の准教授、慶應義塾大学で非常勤講師を務める。
- ジャーナリストとしての仕事 『Time』誌、『Asia Week』、『Daily Yomiuri』、『Kyoto Journal』、『Metropolis』ほか多数に寄稿。
- 広告とトラベルライティング 電通のコピーライターとしてマツダからソニーまでを手がけ(Sony No Baloney!)、全日空の機内誌では先駆的な紀行記事を執筆。